迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 あのときは先生に超音波の映像を見せられても、にわかに信じられなかったな。でも自分なりに調べて、避妊していても妊娠する確率がゼロではないと知ったんだよね。

「ママ、こっち」

 突っ立っていると桜子に手を引っ張られ、現実に意識を戻して座り直す。

「どーじょ」

 小さな子ども用テーブルにはコップと、たくさんの野菜と魚と果物がのった皿が置いてある。

「ありがとう。すっごく美味しそうだね。食べていいのかな?」

「ぱんかいしょ」

「乾杯ね。こうくんも一緒にどう?」

 誘ったが紅汰はおもちゃのフライパンでなにやら炒めている。

 集中力は紅汰の方があるんだよね。さーちゃんは、どちらかというと飽きっぽいところがある。

 乾杯をして飲むふりをし、桜子が用意したものを食べるふりをした。

「ごちそうさまでした。さあ、さーちゃんはお片付けしよう」

 桜子を手伝いながら紅汰の様子をうかがう。

「こうくん、できた? そろそろお出掛けしたいな」

「いや」

 私にとって一番恐怖を感じる言葉だ。
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