迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「来年三歳だっけ」

「九月で三歳になります」

「年少さんになる?」

「保育園での年少クラスは、再来年ですね」

 クッキーがよほど美味しいのか、ふたりは一心不乱に食べている。

「となると、小学校まで四年あるか」

 なんの計算なのだろう。三十七歳になった独身の店長には甥っ子と姪っ子がひとりずついるらしいので、子どもに関してまったくの無知というわけではない。

 だから今日もこうして事前に、二歳半の双子が食べられるものを用意しておいてくれていた。

 コンベクションオーブンが鳴り、渚ちゃんがミトンをはめてドアを開ける姿を眺める。今はシュークリームを作っている最中だ。

 一緒になって渚ちゃんを見やりながら、店長が「あのさ」と声を低くした。

「もう一度、パティシエとして、こっちで働かない?」

 こちらへ視線を戻した真剣な面持ちとぶつかる。

 時間をかけて頭が状況を理解し始めると、拍動が激しくなって太腿の上に置いてある両手をぎゅっと握り締めた。
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