迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「お姉さんと離れると、頼れる人が近くにいなくて困るだろうから、そこは俺ができる限り協力したい」

「店長にそこまでしてもらうのは、申し訳ないです」

 強まった語気に何事かと紅汰が動きを止めて私をじっと見据えた。

 この子は感受性が強く、世の中の様々な動きを敏感に受け止めるところがある。安心させようと頭を撫でると、持参した水筒に手を伸ばして自分で上手に飲む。

「八年も一緒に働いているんだよ。ももちゃんは大切な仕事仲間。困ったときはお互いさま」

「……ありがとう、ございます」

 目の奥から熱いものが込み上げて視界が涙で滲む。

 双子はおままごとに興味があるからか、クッキーを食べ終わったあとは座ったまま厨房を物珍しく見回して、おりこうさんにしている。

「せっかく向こうに引っ越したし、千葉店で同じ条件にできればしたいけど、そこはごめん」

「大丈夫です。それぞれの店舗がどういう状況なのか、一応わかっているつもりなので」

 新店舗の方はスタッフの定着率がよく、オープニングからほとんどメンバーを変えずにいる。それはパティシエにも言えることで、私がフォローに入るのは急遽誰かが休んだときやイベントシーズンだけで済んでいる。
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