迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「結婚していないし、恋人もいません」

 唐突な質問にもかかわらず橙吾さんは丁寧に答えた。そして知り得た情報に困惑して鼓動が速くなる。

「店長、やめてください」

「店長だったのか」

 聞いていられなくて止めに入ると、橙吾さんが今さらながらの発言をして場を余計に騒がせる。

「あれ? 知らなかったんだね。前に会ったときに話さなかったの?」

 店長に話を振られて眉尻を下げる。

「記憶にないです」

 橙吾さんと食事に行った日だから、緊張して配慮できていなかったかもしれない。それも昔のことで本当に覚えていない。

「ももちゃんらしいね。このあとの予定はある? 暇?」

「予定はないですけど」

 ちょっとやそっとじゃ狼狽えたりしない橙吾さんでも、さすがに困惑の色を顔に滲ませている。
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