迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 車内で四人が揃ったという出来事は今後思い出して悲しみを引き連れてくるかもしれない。それでも、時間をかければ幸せな記憶として残る可能性もある。

 助手席に乗り込んで橙吾さんを見てから、うしろを振り向いて双子の表情を確認する。親子なんだよなぁと思うと、喉がぐっと締まる感じがした。

 私のせいでこれまで三人は交わることなく生きてきたのだ。申し訳なさで胸がいっぱいになる。

「千葉までお願いします」

 橙吾さんから返事はなかったが車は動き始めた。

「ままぁ、ちっち」

 車が高速道路を走り始めてしばらくしてのことだった。桜子からの主張に車の天井を仰いで目を瞑る。

 今日に限ってトイレトレーニングに意欲的なのは何故なの。

 家を出てから二時間も経っていないので、帰宅するまで大丈夫だと過信していた。ポワッタビジューのトイレは狭いし、家ではないトイレで用を足させるのは大変というのもあった。

「なんて?」

 橙吾さんがバックミラーでふたりの様子をうかがいながら聞く。
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