迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「俺がみているから、行っておいで」

 ここは素直に甘えよう。橙吾さんへの信頼は厚いし、なにより我慢させている桜子が可哀想だ。

「ありがとう。なるべく早く戻るね」

 リュックを背負い、桜子を抱っこしてトイレへ急いだ。トイレには補助便座があったので、おかげで無事に成功し、音量を抑えた拍手と誉め言葉を送る。

 桜子は撫で繰り回したくなるような愛らしい笑顔を浮かべ、「しゅごーい!」と自分でも感動していた。

 おむつは濡れておらず、ちゃんと我慢できている。

 もしかしてこのままおむつ卒業できたりする? 成長の速さに私がついていけていない。

 手を洗って車がある方へ歩いていると、桜子が別方向へ行こうとした。

「あっち、こーくん」

 桜子が目配せした方向に橙吾さんがいて、腕に紅汰を抱いている。

「え!?」

 あの気難しいこうくんが、会ったばかりの人に抱っこされるなんて、初めてだよ?

 私の存在に気づいていない紅汰は笑っており、なにやら会話をして楽しんでいる。

 定期的に会っている店長にも、何度か遊んでもらっている義理の兄にも懐いていないのに、どうして橙吾さんには心を開いているのか。
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