迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「名前はグリ」

「もしかして、フランス語でグレーが〝グリ〟だからだったりします?」

 グレーの毛並みの猫なので、頭にぱっと浮かんだことを口にすると橙吾さんは目を丸くした。

「どうして分かった?」

 まさかの正解だった。

「ポワッタビジューもフランス語なんですよ。パティスリーもそうですし、ケーキやお菓子はフランスと密接な関係なので」

「なるほど。何気なく使っている言葉で気に留めていなかったけど、どれもフランス語だな」

 新しい発見をしたような口調だ。六歳下である私は彼にとって子どものような存在なのかもしれないのに、そんな年下の話に耳を傾ける姿からはおおらかな性格なのがうかがえる。

 続けてムウの名前の由来を説明する。グリは彼の父親が名づけたそうで、思い入れはないときっぱり言い放つあたりがさっぱりしていて気持ちがいいなと笑ってしまった。

「グリちゃん、どうされたんですか?」

「予防接種。ムウちゃんは?」

「風邪を引いちゃって」

 キャリーカートに目を向けて唇はきゅっと結んだ。私の管理不足で辛い思いをさせてしまった。

「早くよくなるといいね。桃花さんも体調には気をつけて」

 予期せず気遣われ、驚きから言葉に詰まる。
< 15 / 244 >

この作品をシェア

pagetop