迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「すみません、子どもたちが一緒なので難しいです」

 毅然として断ると、山科さんはあからさまに不機嫌な表情になる。

「桃花さんって今も昔も自分勝手ですよね。私が前に言ったことを忘れているようだからもう一度言わせてもらいますけど、橙吾の邪魔をしないで」

 さまざまな想いが頭のなかをぐるぐると物凄い勢いで駆け巡る。

 橙吾さんに黙って子ども生んで、たしかに自分勝手なのかもしれない。でも山科さんには関係ないし、けなされる筋合いはないはず。

 しかし双子の手前よくない言葉は使いたくない。不穏な空気を感じ取っているのか、子どもたちはもうすでに不安がって表情を強張らせている。

「ねえ、それ、橙吾の子どもなんでしょう。許可も取らず生むなんてひどいですよ。橙吾は真面目だから、責任を取るに決まっているじゃないですか。愛されているとでも思っているなら、勘違いもはなはだしい」

 主観は人それぞれなので、山科さんがそう思っているなら口を挟むつもりはない。だけど子どもの前で言うことではない。
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