迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「お金に困っているなら私が援助します。だから、目の前から消えてもらえませんか。それが橙吾のためなんです。いい大人なんですから、それくらいわかりますよね」

 鼻で笑われた。

 聞くに堪えない暴言を吐かれて、頭のなかでぷつっと糸が切れた音がする。

 そもそも足を止めて彼女の話を聞かなければならない理由はもうない。橙吾さんから、家の事情と切り離していいと言われている。

 山科さんのようにプライドが高い人には、無視するより言い返す方が拗れるだろう。そう判断して、なにも言うまいと口をまっすぐ引き結ぶ。

 会釈をして山科さんを追い抜かそうとすると、すれ違いざまに肩を強く押された。

「ちょっと待ちなさいよ。話は終わってない」

 押された方の手を繋いでいた紅汰が驚いて私から離れてしまった。

「ごめんね。おいで」

 桜子と手を繋いだまま紅汰へ腕を伸ばしたが、首を左右に振って拒絶される。

 感受性が強いのにこんな強い口調を耳にして、きっと見た目以上に心に負担がかかっているはずだ。
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