迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「行こう、桃花」

 紅汰を抱っこしたまま橙吾さんがエントランスに足を踏み入れたので、慌ててあとに続く。桜子を抱いていたのもあるが、怖くてうしろを振り向けなかった。

「車をパーキングに停めてから行く。ひとりで平気か?」

 頷くと、「すぐ行くから待っていろ」と言って橙吾さんは出ていった。

 目まぐるしい展開に心も頭もついていけていない。ひとまず目の前のことに集中しよう。

 手洗いを済ませ、双子の時間稼ぎにテレビをつけ、キッチンへ移動して炊飯器からお茶碗にご飯をよそう。

 子どもたちが熱くて食べられないので、こうして冷ましてからテーブルに並べるようにしているのだ。

 鶏もも肉の照り焼きにしよう。桜子の好きな唐揚げにしようと思っていたけれど時間が足りないし、これはこれでふたりの好物だから。

 インターフォンが鳴り、橙吾さんを玄関先に迎え入れる。

「時間ある?」

「ああ」

「話したいから、上がってもらってもいい?」

 これまで送り迎えはマンションの前だったので、橙吾さんが家に来るのは初めてだ。
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