迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 桜子が初めて橙吾さんと手を繋いだ感動の涙を手で拭って、調理の続きをするためにキッチンへ戻った。

 いつもは双子が安全に過ごしているか不安で、何度も中断して様子を見に行っていた工程がないだけで調理がはかどる。加えて楽しそうな三人の声が疲れを吹き飛ばしてくれた。

 また胸に込み上げるものがあり、天井を仰いで必死に堪える。

 なんて穏やかで幸せな時間なのだろう。

 桜子が言っていた汽車というのは、膝の上に子どもをのせて上下左右に揺らす遊びだったみたいだ。

 ムウが隙を見て橙吾さんに身体をすり寄せに行くが、子どもたちのパワーに負けて悲しそうにすごすごと退散するのを繰り返している。

 ムウも覚えているんだなぁと、そこでも感情を揺さぶられ、平常心を保つのが大変だった。

 夕食はあたり前のように橙吾さんの分も用意したので驚いていたが、美味しいと言ってすべて綺麗に平らげてもらえた。

 双子の食事のフォローをして、風呂上がりの着替えと髪を乾かすのも手伝ってくれた。おかげで食事の時間が遅れたにもかかわらずいつもの就寝時間に間に合い、二十時過ぎのリビングでこうしてふたり過ごせる時間が作れた。
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