迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 唇をきゅっと結んで顔を背け、珈琲が入ったマグカップに口をつける。橙吾さんは追及せず、私に合わせて一緒に珈琲を飲んだ。

「間に合ってよかったよ。奈緒に電話をかけても出ないし、妙な胸騒ぎがして、昼前からずっと奈緒が行きそうな場所をあたっていたんだ。マンションに来る前に、千葉店と保育園にも寄った」

「えっ」

 橙吾さんは昨日当番で寝不足だから、今日はいつもなら休息を取る日だ。

「大丈夫? 眠たいんじゃない?」

「そうだな、少し」

 ますます帰りの運転が心配だ。

 置時計に目をやると、二十時半になっている。

「そろそろ――」

「桃花、結婚しよう。どう見ても俺の子どもだ。家族になることを、俺は生きている限り絶対に諦めない。だから桃花が、拒否するのを諦めてくれ」

 再会してまだ三回しか会っていなくて、時間がほしいと言ってからまだ一カ月も経っていない。それなのに橙吾さんの想いは、最初から収まる場所が決まっていたかのようにすとんと胸に落ちる。
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