迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「明日もあるし、そうするか」

 こちらに合わせてもらえるのがありがたい。

 洗面所に移動して新品の歯ブラシを渡すと、橙吾さんがぴたっと動きを止めた。

「これは誰用のだ?」

「誰のでもないよ。新品でしょう?」

「桃花は小さいヘッドで、柔らかめのブラシじゃないのか」

 そう、私は十代の頃からその歯ブラシを好んで使っている。

「子どもの靴磨き用に買ったやつって、すぐにバレちゃったね」

 苦笑すると、橙吾さんは「なんだ」と安堵して歯ブラシの包装を破った。

 いろいろと覚えていたのも嬉しいし、あからさまな嫉妬も可愛くてたまらない。
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