迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「橙吾さんの子どもなんだから、さっさと伝えろとは言っていたの。でもこの子、けっこう頑固でしょう。細かいことなんて気にしなくていいのに、真面目で筋を通そうとするし、やきもきしていたんだよね」

 ひどい言われようだ。しかしその通りなので渋い顔を作ることしかできない。

「そこが桃花のいいところでもあるので」

 橙吾さんは柔和に微笑む。そんなふうに思ってもらえているとは考えもしなかったので、胸に温かいものが込み上げた。

「甘いなぁ、橙吾さんは」

 私に甘いのか、発言が甘いのか。どっちだろうと悩んで、どっちもだと結論づける。

「引っ越しの話はしたの? 仕事については?」

 姉が矢継ぎ早に質問を浴びせるので、慌てて手で制した。

「ちょっと待って、お姉ちゃん」

「話してないの? もう、大事なことは後回しにしたらダメだよ。信用問題にかかわるんだから」

 注意を受けてはっとする。

 両親が亡くなって、姉に迷惑かけないようにと自立するしかなかったので、人に相談するのが苦手になっていった。だから自己解決する癖がついており、これには橙吾さんにも指摘されている。

 たしか、ふたりの課題をひとりのものとして扱わないでほしい、というものだった。
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