迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「これにする?」

「うん!」

 桜子は決断が早いが、紅汰はこういうとき優柔不断ぶりをおおいに発揮する。

「こうくん、決まったかな?」

 聞いているのかいないのか、紅汰はふらふらと店内を歩いている。

 長い戦いになりそうだ。待たされる桜子が機嫌を悪くしないといいけれど。お昼ご飯はおにぎりを持ってきたけど、どうしようかな。フードコートは混むだろうし、席が確保できなければ車のなかでもいいか――。

 雑貨屋でふたりを自由にさせて見守りつつ、今後の予定を立てているときだった。突如として耳をつんざく警報音と、火事を知らせる自動音声の包装が流れる。

「びっくり……した……」

 日曜日で多くの客が行き交うフロアは騒然となり、あちこちで悲鳴が上がった。

 なにかの間違いではないのか。

 誰かが誤って警報機を鳴らしてしまったと考えられずにはいられない。だって、こんな大きな商業施設での火災だなんて、そう簡単に起こるはずがないもの。
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