迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「さーちゃん、こうくん、こっちおいで」

 ふたりの手を繋いで、ひとまず安全な場所へ退避しようと周りを見回す。しかし混乱が起きているフロアでは、どこに向かうのが正解なのかわからない。

 ここは三階だ。エスカレーターで一階まで下りて、屋外へ出るのがきっといいよね。車は四階に停めているけれど、混乱している状況では出庫できないはず。

「よし、行こう」

 怯えて泣きそうになっている双子の手を握り直し、歩みを進めた直後だった。

 どこからともなく爆発音が轟き、立っていられないほどの揺れが起きる。

「きゃっ

 悲鳴を上げてその場にうずくまると、子どもたちは大きな声で泣き始めた。

「ごめん、ふたりとも」

 咄嗟にふたりの頭を両手で抱え込む。

 激しい揺れで店舗のショーウインドウは割れ、天井からは照明が落ち、一瞬にして惨烈と化した。

 怖い、どうしよう。

 そこまでのトラウマになどなっていないと思っていたのに、両親の事故現場の映像が脳裏に浮かぶ。当時の悲痛がぶり返して、手足が強張り身体が冷たくなっていくように感じた。
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