迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「わざわざ来てもらって、すみません」

 頭にすごい寝癖を作り、上下スエットを着ている佐橋の胸の前にケーキの箱を差し出す。空いている手で受け取った佐橋は白い歯を見せて笑った。

「ありがとうございます。ちゃんと買ってこれたんですね」

「あたり前だろう」

「散らかっていますけど、どうぞ」

 佐橋が扉を大きく開けて中へ促したので、すぐ帰るとつもりだったがせっかくなので寄っていくことにした。

 過去に付き合っていた子と同棲をしていた部屋のままなので、ひとりなのに2LDKという広さだ。人のことは言えないが。

 リビングに通されて、ローテーブルを前にしたソファに腰掛ける。温かい珈琲と、皿にのせたケーキを運んできた佐橋はカーペットに座った。

「例の子いました? そういえば名前なんていうんですか?」

 俺と桃花さんの関係に、やけに興味津々だ。昔はよく交際相手の相談をされたし、そういう話が好きなのかもしれない。

「小早川桃花」

「へえ、可愛らしい名前ですね」

 消防隊に救助される際に、鼻声で名乗っていた桃花さんの姿が脳裏に浮かんだ。目鼻立ちが整っている女の子だとは思ったが、あそこまで綺麗な女性になっているとはさすがに予想していなかった。
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