迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「ムウはサーモンとか、魚しか食べないんです」

「これは?」

「チキンです」

 グリは食いしん坊で基本的になんでも食べるから問題ない。

「お礼にご飯をごちそうしたいんだけど、誘ったら迷惑?」

 勤め先の目の前で立ち話をするのは迷惑だろうと、会話もそこそこに切り出した。

 桃花さんは目を丸くして、「えっ」と普段より低い声をこぼす。明らかに戸惑っている様子だ。

「迷惑とかは、まったくないですけど……ごちそうになるのは申し訳ないので、普通にご飯に行きませんか」

 眉尻を下げて声量を落とした桃花さんは、まるで哀れみを感じさせる子犬のようだ。

 薄々感じていたけれど、気を使う性格なのかもしれない。

「食べたいものはある?」

 うーん、と首を傾けた桃花さんは、そのままバランスを崩してよろめいた。天然なのだろうか。

 あはは、と恥ずかしそうに笑ってから背筋を伸ばし、気まずい空気を蹴散らすように両手をぱんっと胸の前で合わせる。

「ラーメンが食べたいです」
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