迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「あくまで私はという前置きはあるんですけど。疲れているとき、悲しいとき、嬉しいとき、誰かに幸せを届けたいとき、どんな場面でもケーキって求められるものだと思うんです。食べ終わったあとに優しい気持ちになれるような、そんなケーキが作りたいなって今も昔も思っています」

「桃花さんは心が豊かだね」

 志を語ってくれたことが嬉しい。

「心が豊か?」

 オウム返しをした桃花さんは、よくわからないといった表情を浮かべている。

「世の中の様々なことに反応して、感情を動かせているような気がする。違ったら悪い」

 素直な性格だからこそだ。俺にはないものを持っている。

「たしかに、感受性が強いかもしれません」

「いいことだね」

 不思議そうな目つきで見られて、なにを訴えているのだろうかと首を傾げると、なんでもないといったふうに首を左右に振り返される。

 気にはなったが、桃花さんが話題を次に移したのでそれ以上深掘りはしなかった。
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