迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
 ラーメンが届き、始めに『美味しい』と互いに感想を言い合ってから、ほとんど会話をせずに黙々と食べ進める。

 桃花さんのペースに合わせようとしていたが、その華奢な身体のどこに入っていくのかと目を疑うほど豪快に麺をすすっていて、配慮する必要はどこにもなかった。

 ……いや、昼ご飯を食べていないから当たり前か。

 順番待ちの列ができていたので、器が空になるとすぐに立ち上がって店を出た。外はすっかり夜になっている。

「ごちそうさまでした。あまりに美味しくて、過去最高の速さで完食しました」

 行動と発言が一致していたので、本当に素直な子だなと微笑ましくなる。

 桃花さんが選んだ店ではあるが、連れていけてよかったと思わせてくれる部分にもありがたさを感じた。男冥利に尽きるってこういうことだよな。

「ラーメンが好きなのか?」

「好きです」と、目を弓なりに細めて笑った顔に胸が小さく鼓動を打った。何年振りか記憶にないくらい久し振りの心臓の動きに戸惑いを隠せない。

 もっと一緒にいたい。この笑顔をそばでずっと眺めていたい。そんな想いが胸の奥底から湧き水のように溢れてくる。

 もう二度と会えないわけではないのに、もうすぐ別れるのだと考えたら激しい焦燥感に襲われる。

 まいったな。こんな気持ちになるなんて想定外だ。
< 46 / 244 >

この作品をシェア

pagetop