迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「すみません、足止めさせてしまって」

「大丈夫だよ」

 普段と変わらない態度を取れているだろうか。どういう関係なのか知りたいが、聞くという行為はさすがにプライベートに踏み込みすぎている。

「困ったな。リップひとつしか持っていないのに」

 桃花さんはひとり言を呟いて、指で唇を触った。

 俺に対しては徹底して敬語なのに、先ほどの男性の前ではそれが抜けているときがあった。

 焦燥感に襲われて胸がざわつく。しかしながら、相変わらず元気にお喋りをしてくれる桃花さんのおかげで俺の動揺は伝わっていないはずだ。

 ポワッタビジューの近くまでやってきて足を止める。

「ずっと荷物を持たせちゃって、すみませんでした。ラーメン食べられて嬉しかったです。ありがとうございました」

 さっぱりとした態度を取られて、俺との温度差になんとも言えない気持ちになる。
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