迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
「どうした?」

「すっぴんだから、ちょっと、徐々に見せたい」

「なんだそれ」

 私もそう思う。なにを言っているのだろうと焦って、汗が肌に滲むような感覚があった。

「どうせ見せないといけないんだから、さっさと見せろ」

 ごくたまにSっぽい部分が垣間見えるのだが、このタイミングでそれを出してくるとは。こういうときの橙吾さんが男らしくてすごく好きで、どうしたって逆らえない。

 腕を掴まれて、おとなしく従う。しかし、体温が伝わる距離で熱視線を送られたらやっぱり無理だった。

「近いよ」

 蚊の鳴くような声で訴えて離れようとすると、ぐいっと腕を引かれて抱き締められた。

「ずっとこうしたかった」

 ドクンドクンと心臓が大きな音を全身に響かせている。唾を飲み込むことすらできなくて、乾いた喉からは声が上がっていかない。

 私も触れたかった。同じ気持ちだったのが嬉しい。
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