迎えにきた強面消防士は双子とママに溺愛がダダ漏れです
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 十二月の上旬、世間はクリスマスムード一色に染まっている。どこもかしこもイルミネーションが輝き、赤や緑の装飾が施され、街道を歩いているだけで心が弾む。

 ポワッタビジューも本格的に忙しくなり、クリスマスケーキの予約も順調に増えている。

 そんななか今月からホテルでパティシエとしての経験がある新しいスタッフが入った。おかげで休日返上して働くというシビアな環境に陥らずにすみ、体調を崩すこともなく働けている。

 定休日の水曜日である今日は千葉県に住む姉の早苗がこっちまで来てくれて、橙吾さんと三人でレストランを訪れている。

 温泉のお土産を渡したくて姉に連絡したところから橙吾さんの話になり、遊園地で起きたアトラクション時の男の子だと伝えたら、彼と話がしたいと言われたのだ。

 まだ交際して一カ月と少しなのに家族を紹介されるなんてけっこうなプレッシャーだと思う。橙吾さんが嫌な顔をしたらどうしようという不安があったが、誘ったらふたつ返事で頷いてくれた。

 和食が食べたいという姉からの要望にも、老舗の料亭での食事の場を用意してくれた。

「こんな素敵なところでご飯食べるの、いつ振りかな」

 案内された個室に着席した姉は緊張した様子もなく、すっかりこの空間に馴染んでいる。昔から適応能力が人より飛びぬけているとは感じていたけれど、相変わらずすごい。
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