幽霊姫は止まれない!
「はじめまして。ずっと貴方が格好いいと思っていて。だから話してみたいと思っていたの」
「いや、情報探りたいからだよね、それ……。 はじめまして、とずっと、も既に矛盾してるしさぁ……」
 そしてそのまま苦笑するミック公爵令息を連れ、最初に騎士団長から促された安全なスペースへと向かったのだった。

(まず何から聞くか、よね)
 けれど平民設定の私が突然『隣国の幽霊姫って、ここでは妖精姫って呼ばれてるんですか』なんて聞いたらあまりにも怪しいだろう。国にそう広まっているのか、それとも彼だけが言っているのかも今はまだわかっていないのだ。変に突っ込んで聞くと私の正体がバレる可能性もある。ここは慎重に、遠回しに聞くべきだろう。

「あの、リンディ国の幽霊姫についてどう思われます?」
 遠回しにそう質問を投げる。これならば素晴らしく自然だろう。……何故か遠くでオスキャルが頭を抱えたように見えたが、それはきっと気のせいだ。
「リンディ国の、幽霊姫?」
 どんな回答が来るのかドキドキしながら待っていた私だが、返ってきたのは怪訝な反応。その反応に思わず首を傾げてしまう。
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