幽霊姫は止まれない!

第二話 私、気付いているわよ

「どんな願いでも本当に叶うのかしら」
「さぁ。というかエヴァ様は叶えたい願いがあるというより、絶対叶うのかどうかを確かめたいんでしょう?」
「あら、流石私の護衛騎士ね。よくわかっているじゃない」

 王城の裏口からこっそり……ではなく、オスキャルを連れ堂々と正門から出た私たちは、幽霊姫と揶揄されるほど顔を知られていないことをいいことに変装もほどほどにして王都を抜けた。そのまま西の外れまで進み、小さな川を越えた先の森の奥が魔女の住処らしい。漠然と西、としか知らなかった私に代わり、しっかりと調べてくれていたオスキャルのお陰で迷わず辿りつけそうだった。

(興味なさそうにしていたクセに、やっぱりオスキャルも魔女の秘薬が気になってるんじゃない)

 最年少ソードマスターとはいえ、私の三歳年上であるオスキャルは現在二十二歳。まだまだ若い彼だが、ソードマスターになるため過酷な訓練をこなし青春の全てを剣に捧げてきたのだ。ならば彼が魔女の秘薬に願うことも自ずとわかるというものだろう。

「ズバリ、恋人が欲しいのね?」
「ごふッ」
「その反応……正解と見たわ」
「なんの話をしてるんですか!?」
< 11 / 570 >

この作品をシェア

pagetop