幽霊姫は止まれない!

幕間・二 心配性のお兄様(前編)

「アルゲイド王太子殿下。陛下がお呼びです」
「あぁ、わかった」
 王太子としての執務をこなす私を呼びに来た父の側近にそう簡単に返事をした私は、執務机に広げられた書類をすぐに片付け席を立った。
 わざわざ父が侍従ではなく側近を使って呼びにこさせたのだ、内容は国の一大事である可能性もあるだろう。

 そう思った私はすぐ様父の執務室へと向かい、そして案の定――いや、予想よりもかなり大きな、国同士の一大事を聞かされた。
 なんと、世界一可愛い妹である、エヴァに婚約の申込書が届いたという、大事件である。

「父上が私をお呼びになられた理由は理解いたしました」
「流石だな、アルゲイド。我が息子ながら優秀だ」
「開戦ですね。すぐに騎士を集めます。必ずや隣国を……いや敵国を落とし首を持ち帰りましょう」
「よし。いい子だ、一度座って話し合おう」
 私のその発言を聞いた父が大きく咳払いし、既に立ち上がり騎士を集める準備を始めようとしていた私を再びソファへと促した。
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