幽霊姫は止まれない!
 一階層丸々エヴァに与え、その一階層下にオスキャルと近衛騎士を配置すれば、建物外や上空からの潜入はソードマスターであるオスキャルが気付くはず。
 そしてそのソードマスターであるオスキャルが不埒な行動を取らないように近衛騎士たちに見張らせるのだ。これで完璧である。
「ま、エヴァがオスキャルを自室へ呼べばこの計画は台無しなんだがな」
 言いながら今度はハハッと笑ってしまう。だってあまりにもあり得ない想像だったからだ。
(淑女であるエヴァが気軽に異性を自室へ招くなんて愚かな真似するはずがない)

 そう、思っていた。
 ――そのまさかが起こったどころか、エヴァ自らがオスキャルを自分のベッドへ引きずり込むだなんて、その頃の私は想像すらできなかったからである。
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