幽霊姫は止まれない!
第三章 アナタのモノではありません!

第二十三話 問題ない、という理由

 それは、──が笑顔だったけれど。
 それでもまるで私に笑いかけてくれたように感じ心臓が早鐘を打っていた。

 いつかその笑顔が私へ向けられたらいい。心のどこかではそんな日は来ないのだと、彼の瞳に自分は映らないのだと気付いていたけれど、その事実からは目を逸らす。
 だってもし気付いていると、私自身が〝理解して〟しまったら。

「絶対、認めてなんてあげないんだから……」

 そう、私はひとり、対して価値のない決意を溢したのだった。

 ◇◇◇

「イェッタ。コーニング伯爵家のイェッタ・コーニングよ」

 言われたその名前に唖然とする。まさか彼女が隣国ではなく、自国の貴族だったとは想像もしなかったのだ。
(コーニング伯爵家には、確かにイェッタという名前の令嬢がいたわね)
 自国の貴族のことだ。顔までは知らなかったものの情報としてはある。
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