幽霊姫は止まれない!
 恋人である〝平民のエヴァリン〟が邪魔なのと同じくらい、彼の本来の仕事である末の王女の専属護衛騎士という立場上〝リンディ国第三王女・エーヴァファリン〟が邪魔だというならば理解できた。むしろ王女の方が、王命で結婚を強要──なんてこともできるのでオスキャルを慕う彼女にとっては邪魔であり脅威だろう。
 それなのに『問題ない』とはどういうことだろうか。

 その怪訝な顔に気が付いたのだろう。
 ハッとしたイェッタが、やれやれといったような表情になりながら、訓練で今にも倒れそうになっているミック公爵令息を何故か指さした。
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