幽霊姫は止まれない!
「ッ、そ、そうよね。確かにこんな……いとこを唆し王族を謀るようなことをしたとなれば不敬罪で捕まるかもしれないわよね、でもっ! 考えてみて、悪いことは言っていないわ、むしろ幽霊から妖精ならバージョンアップじゃない?」
「えっ」
「貴女だって幽霊と言われるより妖精と言われる方がいいでしょう? 幽霊も妖精も目に見えないのは同じですもの」
(いや、私は実際に幽霊姫と呼ばれてるんだけど……)

 だが、彼女の言うことにも一理ある。確かに王族を貶したとか、偽の情報を流し不利益を発生させたというのならばそれは罪に問われてもおかしくはないが、実際に彼女がしたのは幽霊というあだ名をちょっと可愛く妖精に置き換えて親戚に話しただけなのだ。
 その話を聞き、妖精というイメージで勝手に盛り上がり婚約を申し込んできたのは彼女のいとこだし、そもそも彼女の言う通り妖精という言い回しは決して侮蔑ではない。幽霊は嘲笑う目的のあだ名だったが、妖精といえば儚くて幻想的な可愛らしいイメージだ。
(つまり私、とても可愛いってことなのでは?)
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