幽霊姫は止まれない!
 ムムム、と睨み合うように顔を突き合わせる。だが、今はそんなことをしている場合ではない。はぁ、とため息を吐いた私は仕方なく睨むのをやめて顔をあげた。
(そもそも負けないとは言ったけど……どうやって勝負をつければいいのかしら)

「確実に勝てる勝負って何があるかしら」
 私のその言葉に、さっきまで半分しか開いていなかったオスキャルがきょとんと目を見開く。
「勝てる内容での勝負を選ぶんですか?」
「何よ。負けて欲しいの?」
「別に負けてもペナルティがあるわけでもないですし、護衛としてはエヴァ様が大人しくしてくれている方がありがたいですけどね」
 自分が今回の話の中心にも関わらず、クールぶったオスキャルがさらりとそんなことを口にする。
 そんな彼にはぁ、と小さくため息を吐いた私は、少しだけ感じる気恥しさから顔を逸らした。
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