幽霊姫は止まれない!
「えぇ? 例題という割にはパネルが見えませんでしたけれど……」
「こ、こっちが本番! えーっと、オスキャルが好きなサンドイッチの具は何でしょう!」
 慌てて問題を考え直したせいで面白みはない問題にはなってしまったが、恋人ならばいっしょに食事をする機会だって多いはず。
 それに私はオスキャルと毎日一緒に昼食を取っているのだ、間違えるはずがない。

(私たちの昼食にはしょっちゅう生ハムが挟まれたサンドイッチが出るのよ、つまりオスキャルがリクエストしてるに違いないわ!)
 お兄様もよく執務の片手間に食べられるから、とサンドイッチを好まれているが、お兄様の具はいつも違ったものが挟まっているのも確認済み。
 そして昼食を取りに行ってくれているのはいつもオスキャルだ。つまり厨房に顔を出しているのもオスキャル。生ハムのサンドイッチが好きだからとリクエストしているのもきっとオスキャル!
(この一点、貰ったわね)
 ぐふふ、とこっそり笑みを溢した私がちらりとイェッタの方へ視線を向けると、彼女は一瞬だけ考え込むような仕草をしたもののそのままパネルへ書き込みをし、ペンを置いた。
 回答の準備は整ったようだ。
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