幽霊姫は止まれない!

第三十三話 お揃いの衣装でマウント勝負

「うわ」
「うわって何よ!? 失礼ね!」
 私の姿を見たオスキャルがそんな声を漏らし、私はムスッと唇を尖らせた。

「他に何かないの」
「え!? あ、その……ひ、姫君に、見えます」
「今まで私のことをなんだと思ってたわけ!? 姫よ、紛れもなく末の王女よ!」
「だからその、えぇっと、う、美しい、です」
「そうよね」
 若干無理やりだったもののオスキャルからその一言を引き出して機嫌が直った私は、満足気に鏡に映った自身の姿を確認する。
 もちろん髪色も目の色もそのままだった。

 今日の装いは髪色が栄えるように淡いレモンイエローのドレスで、袖には少しボリュームをもたせたデザインだ。袖や裾には少し濃い赤みがかったオレンジ色で花柄の刺繍がされており、その色と同色の細めのリボンで装飾されている。
 対してオスキャルは彼の瞳の色と同じ藍色で全身を彩り、ウエストコートの首元には私と同じ刺繍が白色で施されている。飾り緒は私と同様の少し濃い赤みがかったオレンジ色が使われていた。

「準備はいいわね? 乗り込むわよ」
「夜会に行くセリフじゃないんだよなぁ」
< 188 / 570 >

この作品をシェア

pagetop