幽霊姫は止まれない!
「あら。社交界ってのは女の戦場なんだから」
「サボり倒せる戦場がどこにあるんですか」
 そんな軽口を叩きながら、私は彼の差し出して腕に自身の腕を絡める。そして並んで部屋を出たのだった。

 イェッタから招待された夜会──正確にはミック公爵令息からの招待なのだが、オスキャルだけではなくちゃんと私へも個別に送ってくれており、その辺の気遣いは流石公爵家だと思う。
 ちなみにあて名はちゃんと『エヴァリン』になっており、『まさか本当にバレてないのか?』とオスキャルが首を傾げたので足を踏んでおいた。

 オスキャルクイズの時に場所を提供して貰った関係で彼の家に行くのは三度目だが、今回は夜会ということで門兵に招待状を見せ庭園ではなく邸宅のホールへと向かう。
(庭園も素晴らしかったけど、流石に邸宅内はもっと豪華ね)
 自然の花々で彩られた庭園とは違い、廊下には大きな絵画のかけられていた。その絵画の額縁だけでもまるで何かの芸術品かと見間違うほどのこだわりで彩られており、ふかふかの絨毯もあいまって豪華絢爛といった感じだ。
 その廊下を進んだ先、一際大きな扉が今回の会場への入り口となっているようである。
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