幽霊姫は止まれない!
 どこか名残惜しそうにこちらをチラチラと見ながら、けれどイェッタの前まで辿り着いたオスキャルはそこからはもうこちらを見なかった。
(それを寂しいと思うのはあまりにも勝手ね)

 少しぎこちなくダンスを始めるふたりを見つめる。そのぎこちなさは初々しさにも見えて、胸の奥が重くなるのを感じていると、ミック公爵令息が話しかけてきた。
 先ほどオスキャルと約束していたように、彼がいない間私が他の誰かに声をかけられないよう壁になってくれるらしい。
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