幽霊姫は止まれない!
幕間・三 片想いのあの人は(イェッタ視点)
彼を初めて見かけたのは、他の令嬢に連れられて行った騎士の訓練場だった。
彼女が片想いしているという騎士へみんなで差し入れをしに行くというので、ただただその付き添いのつもりだったのだが、私だけ手ぶらで行くのもどうかと思い、家のメイドへ適当に差し入れを包むように頼んだのだ。
その時は中身にも、そして騎士たちのも興味は無かった。
だって私は伯爵家の一人娘で、家のために少しでもいい家の男性との婚姻をしなくてはならなかったから。だから、一騎士になんて構っていられないとその時は思っていたことを覚えている。
みんなとは違い目当ての騎士がいるわけでは無かったので、持ってきた差し入れはたまたま近くを通った騎士に手渡した。その行為にも、渡した相手にも意図はない。
「あー、差し入れ? ありがとうございます」
ぶっきらぼうに受け取ったのは、私とあまり年の変わらなそうな一人の騎士だった。
どこか不機嫌にすら思えるその態度に若干渡したことを後悔しつつ、まぁこれで友人への義理は果たした、くらいの気持ちだった。
「サンドイッチか」
「丁度いいな、休憩ー」
彼女が片想いしているという騎士へみんなで差し入れをしに行くというので、ただただその付き添いのつもりだったのだが、私だけ手ぶらで行くのもどうかと思い、家のメイドへ適当に差し入れを包むように頼んだのだ。
その時は中身にも、そして騎士たちのも興味は無かった。
だって私は伯爵家の一人娘で、家のために少しでもいい家の男性との婚姻をしなくてはならなかったから。だから、一騎士になんて構っていられないとその時は思っていたことを覚えている。
みんなとは違い目当ての騎士がいるわけでは無かったので、持ってきた差し入れはたまたま近くを通った騎士に手渡した。その行為にも、渡した相手にも意図はない。
「あー、差し入れ? ありがとうございます」
ぶっきらぼうに受け取ったのは、私とあまり年の変わらなそうな一人の騎士だった。
どこか不機嫌にすら思えるその態度に若干渡したことを後悔しつつ、まぁこれで友人への義理は果たした、くらいの気持ちだった。
「サンドイッチか」
「丁度いいな、休憩ー」