幽霊姫は止まれない!
 そして話を戻すように、手元の紅茶を一気に呷って大きく頷く。

「私とオスキャルで、その聖女サマが本物かを見極めればいいってことね!?」
「あぁ。偽物なら兄様を守らなきゃな」
「えぇ。偽物なら国を守らないと」
「任せて! そんな面白そうなこと……じゃなくて、楽しそうなことやるに決まってるじゃない!」
 ふふふ、と笑みを溢しながらそう宣言すると、姉たちもにこりと笑う。

 そんな笑い合う素晴らしい姉妹たちの姿を、オスキャルだけはがくりと項垂れて受け入れていた。
 おそらく『さっきのことをこれ以上追及されるよりはマシ』ということだろう。

 ◇◇◇

「でも、どうやって調べようかしら」
「どうしてこんな……折角自国に戻ってきたのに」
「どうして、はこっちのセリフよ。どうしてそんなに嫌がるのよ」
 先の戻るという姉様たちを見送ったあと、その場に残った私とオスキャルは紅茶の二杯目を淹れてふたりだけのお茶会を再開していた。

 さっきまで遠慮していたのか、プルプルとしながら紅茶をチビチビと飲んでいた彼はどこかえ消え、今ではため息を吐きながら大口でサンドイッチを頬張っている。
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