幽霊姫は止まれない!
 どんなに情熱的に聞こえても、彼が護衛騎士である以上当たり前のことを言っているだけ。職務を全うしていると考えればそれまでである。

「でも、オスキャルの言い分もわかるわ」
 護衛対象が、突然現れた、しかも不思議な力を有している相手に近付くのを快く思う騎士なんていないだろう。
 しかもその相手がどんな理由であれ権力を欲しているのならば尚更だ。

「だから、その言葉を受け入れ聖女の近くにはいかない」
「エヴァ様……っ」
 ハッキリそう宣言すると、パァッとオスキャルの表情が明るくなる。

「その代わり、私、お兄様の護衛になるわ!」
「……は?」
 そして私が続けた言葉を聞いて、白目を剥いたのだった。

 ◇◇◇

 護衛。
 付き添ってまもること。また、守る人のこと。

「オスキャルがしているのを間近で見ているから、できると思うのよ!」
「そんなに簡単なものではありませんよ……」
「それにお兄様からのオッケーももう出てるし」
「本当に……どうして……」
 がくりと項垂れるオスキャルに苦笑しつつ、向かうのはもちろんお兄様のところである。
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