幽霊姫は止まれない!
第四十四話 当然と言えば当然だけど
(隣って新鮮ね)
私も彼も、今は王太子の護衛として振る舞っている。つまりは対等な地位ということだ。だからこそこうやって外を歩いている時にとなりにいるのが少し珍しかった。
そして、彼自身はいつも通りの仕事へともう切り替えているらしく、今は何も感情を滲ませない無の表情で歩いている。
そのどれもが新鮮で、少しだけ寂しくも感じた。
「オリバー」
「はい」
「頑張ろうね」
「はい」
短い返事。でも隣から返ってくる返事。
(寂しいなんて言ってちゃダメね)
だって私は今、この国の王太子の結婚相手を見極めるという重要な任務を担っているのだ。
なんて気合を入れ直した時だった。
「きゃあ、殿下だわっ」
「?」
どこからか甲高い声が聞こえ、そちらへと目をやる。
そこには華やかに着飾った令嬢たちがいた。
(あ、いつの間にか王族のプライベート区画は抜けていたのね)
今向かっているのは兄の執務室。執務室はもちろん王城内にはあるのだが、執務をこなすという都合上他の貴族も足を踏み入れられる区画にあるのだ。
(当然と言えば当然だけどね)
私も彼も、今は王太子の護衛として振る舞っている。つまりは対等な地位ということだ。だからこそこうやって外を歩いている時にとなりにいるのが少し珍しかった。
そして、彼自身はいつも通りの仕事へともう切り替えているらしく、今は何も感情を滲ませない無の表情で歩いている。
そのどれもが新鮮で、少しだけ寂しくも感じた。
「オリバー」
「はい」
「頑張ろうね」
「はい」
短い返事。でも隣から返ってくる返事。
(寂しいなんて言ってちゃダメね)
だって私は今、この国の王太子の結婚相手を見極めるという重要な任務を担っているのだ。
なんて気合を入れ直した時だった。
「きゃあ、殿下だわっ」
「?」
どこからか甲高い声が聞こえ、そちらへと目をやる。
そこには華やかに着飾った令嬢たちがいた。
(あ、いつの間にか王族のプライベート区画は抜けていたのね)
今向かっているのは兄の執務室。執務室はもちろん王城内にはあるのだが、執務をこなすという都合上他の貴族も足を踏み入れられる区画にあるのだ。
(当然と言えば当然だけどね)