幽霊姫は止まれない!
(万が一見つかってもお兄様が心配して自分の護衛騎士をつけた、という言い訳もできるし、調べられたり誰かに声をかけられても変装後の私たちはお兄様の護衛としての顔を売ってきたから納得だってして貰えるもの)

 唯一の懸念点といえば聖女が『預言者』であることだ。
 彼女の預言が本物なら、私たちのストーキング行為が筒抜けになっているどころか先回りされて待ち伏せされたり、完全に撒かれて見失う可能性もある。

(でも、それならそれで彼女の預言の力が本物だと裏付けることになるわ)
 そうなればそれで構わない。
 お兄様も王太子としてこの国に生まれたのなら、国益のための結婚なんてとうに受け入れているはず。そしてその相手が国の未来を守ることができる預言者だとすれば、これ以上お似合いの相手なんていないだろうから。

「あぁ、また面倒くさいことを」
「何か言った?」
「明日からも頑張ります」
「えぇ。明日は騎士服じゃなく、私服で来てね。もちろん変装後の銀髪に似合うやつで!」
「また無茶言うぅ……!」

 そんな嘆きを残しながら、その日は解散したのだった。

 ◇◇◇
 
 そしてやってきた翌日。
< 271 / 570 >

この作品をシェア

pagetop