幽霊姫は止まれない!
「で、でもオスキャルは、その……可愛い恋人! 可愛い恋人を求めていたもの」
「恋した相手は見た目なんて関係なく可愛く映るものよ? それに、彼が恋人を欲しがっていたというのは子猫ちゃんがからかって言っただけでしょう?」
「ッ」
 あの会話をローザはどこかで聞いていたのだろうか。だが、からかっていたという私の内の気持ちまで見抜かれているとは思わず、まさに図星を突かれた私は、その気まずさに俯いてしまう。

 でもこのままは嫌だった。どうしてかはわからないけれど、彼は私自身が選んだ唯一の相手だからかもしれない。
(わからないけど)
 護衛騎士の任命式。そこでオスキャルを選んだのは他でもない私だ。彼は幽霊姫になんか選ばれ可哀相なのかもしれないが、それでも私の唯一は彼だけだから。
 ぎゅっと自身の手を握り込んだ私は、自分勝手だと重々承知でローザを見上げる。
「それでも私は、私のために解毒薬が欲しいわ。なんでも願いを叶えてくれる魔女よ、お願い。私の願いは彼が元に戻ることよ」
「ふぅん、そうね。私は恋の魔女だけど、願われてしまったなら仕方ないわね」
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