幽霊姫は止まれない!
 いつか彼が自身の唯一を見つけるのだとしても、それは薬で本物にされた感情ではなく彼の本心で決めて欲しいから。
 私の決意が伝わったのか、「それに幸せのカタチは人それぞれだものね」なんてフッと息を吐きながら言ったローザが玄関を指さした。
「解毒薬は存在するけれど、材料が足りないの。すべてこの森の中にあるから頑張ってね」
 そう言ったローザから材料の図解書を貰い、私は相変わらず鏡の中の自分へうっとりとしているオスキャルをチラリと見てから外に出たのだった。
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