幽霊姫は止まれない!
「下品なことを言わないでください!」
 まさか本当に娼館へ入っていくとは思っていなかった私が思わずそんなことを呟くと、すかさずオスキャルの鋭いお叱りが飛んできたので慌てて口をつぐむ。
 だが、気になるのはそこだけではない。

「何、夜闇の館って。もう少しマシな名前はなかったの?」
「あー、ここはコンセプト娼館ですね」
「コンセプト娼館!? 聞いたことない単語なんだけど!」
「コンセプト娼館というのは、その名の通りコンセプトを大切にした娼館のことです。この夜闇の館は吸血鬼をモチーフにした娼館で、事前に吸血鬼になるか吸血鬼になってもらうかを決めれるんですけど」
「え、何その選択式」
「まぁ、そのままですよ。吸血鬼になりきって女性との時間を楽しむか、それとも女吸血鬼に襲われるシチュエーションを楽しむかの違いですね」
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