幽霊姫は止まれない!
 すぐさま中からドンドンと扉を叩かれるが、左手で扉を押さえ、更に中から開けられないように右手でドアノブもしっかり握ったオスキャルと私は顔を見合わせた。

「「誰?」」
(どう見ても聖女じゃなかったんだけど!?)

「エ、エヴァ様、バケモンです!」
「ほ、本名が出てるわよオスキャル!? あとバケモンはやめなさい、トロール、トロールよ!」
「エヴァ様こそ俺の本名言ってますが!? それからトロールはバケモンの一種ですが!」
(た、確かに金髪の何かだったけど!)

 中にいたのは絵姿で見た姿とも、お姉様たちから聞いていた姿とも似ても似つかない、ぽっちゃりとした姿。そしてやたらと瞳をギラギラさせている。
 そんな何かが扉に突進してきたのだ、驚いたって仕方ない。
 
 私だけでなくオスキャルも動揺しているようだが、扉が開かないようにとうっすらオーラを纏っているところを見るとまだ冷静な方……いや、オーラを纏っている時点で混乱しているか。娼婦相手に入念すぎる気もするが、オスキャルが扉を閉めなければ体当たりされていた。
(流石にこれは入念でも仕方ないわよね)
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