幽霊姫は止まれない!
 オスキャルもどうやら身の危険を感じているらしく、完全に敵扱いをしている。
 だが、どういった系統の身の危険かは別として、私もある程度その恐怖を感じていたので素直に頷き、オスキャルの腰にしがみついた。

 そんな私の体を片手だけ扉から放して支えるように腕を回したオスキャルが瞬時に私の体を抱き上げ、走り出す。
 来店時より増えていた客たちの合間を縫って外へと飛び出ると、背後にそびえたっていたその夜闇の館が来た時よりも数段不気味に見えたのだった。
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