幽霊姫は止まれない!
 それに私たちが来ることが預言でわかっていたのなら、どうしてもっと早く撒かなかったのかも気になる。どこの娼館か、まで特定されたら逃げ切るのはかなり難しくなるだろう。

 いくら相手がソードマスターだとはいえ、未来が見えるならどうとでもできたはずだ。それなのに、何故?

「……作戦を変えるしかないわね」
「作戦、ですか。まぁ俺としたらもうあそこに行かなくてもいいならなんでもいいんですが」
「娼婦という証拠は欲しいからそこはもちろんまた行くけど」
「あんな危険な場所に!?」
「娼館へ行くことをそんなに怖がる男性って、珍しいんじゃないかしら……」

 一気に青ざめ小刻みに震えたオスキャルに苦笑しつつ、私はいい案はないかとうーんと唸る。

「一応私たちはお兄様の護衛として少しは顔を売ったじゃない? なら、聖女の護衛に抜擢してもらえたりとか」
「できませんね。何かあった時、俺はエヴァ様を優先します。その結果、一応は王太子殿下の結婚相手として来られている聖女様の護衛が足りません」
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