幽霊姫は止まれない!
「摘んでもらった花で申し訳ないけど、まぁまぁ似合うんじゃないかしら」
「え、いや、それはどうかと……」
「そんなことないわよ。変装中の銀髪に映えてて似合ってるから、オスキャルにあげる」
「えぇー」
完全に戸惑った表情になったオスキャルの眉尻が困ったように下がるが、挿した薔薇の花がその場で外されないことについ口角があがってしまう。
(気を遣ってるのかもしれないけれど)
それでもきっと、オスキャルは嫌なことはちゃんと言ってくれる人だから。
私は薔薇の花を髪に飾ったオスキャルに満足気に頷きながら、残りの四本の薔薇を手に持って早速聖女の元へと向かったのだった。
◇◇◇
「おはようございます、聖女様」
コネで入手した聖女のスケジュールを元に、王太子妃の教育のために移動している彼女へと声をかける。現在彼女の護衛には三人の近衛騎士がついているが、兄から事前に私たちのことはネタバラシされているので、城内で王太子妃候補の聖女様をナンパしようとする不埒な騎士を咎めることはなかった。
「え、いや、それはどうかと……」
「そんなことないわよ。変装中の銀髪に映えてて似合ってるから、オスキャルにあげる」
「えぇー」
完全に戸惑った表情になったオスキャルの眉尻が困ったように下がるが、挿した薔薇の花がその場で外されないことについ口角があがってしまう。
(気を遣ってるのかもしれないけれど)
それでもきっと、オスキャルは嫌なことはちゃんと言ってくれる人だから。
私は薔薇の花を髪に飾ったオスキャルに満足気に頷きながら、残りの四本の薔薇を手に持って早速聖女の元へと向かったのだった。
◇◇◇
「おはようございます、聖女様」
コネで入手した聖女のスケジュールを元に、王太子妃の教育のために移動している彼女へと声をかける。現在彼女の護衛には三人の近衛騎士がついているが、兄から事前に私たちのことはネタバラシされているので、城内で王太子妃候補の聖女様をナンパしようとする不埒な騎士を咎めることはなかった。