幽霊姫は止まれない!
 それらの注意点を心の中で反芻しながらゆっくりと口を開く。
 まずは、気取った男のターンだ。

「朝露に濡れたようなその美しい瞳には負けてしまいますが、どうか貴女を彩る雫にこちらも混ぜてはいだだけませんか?」
 僅かに口角を上げ、目はした瞼に力を入れつつ細める。まるで彼女に陶酔したかのような視線を向けると、彼女の白い指が薔薇へと伸ばされた。

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