幽霊姫は止まれない!

第五十二話 綻ぶ表情は計算なのか天然なのか

「ふふ、ありがとうございます」
 ふわりとまるで花が綻ぶように笑みを溢すその姿に神々しさすら感じる。

(すっごく聖女って感じ!)
 聖女の護衛にと同行している近衛騎士たちがその笑顔に一斉に目を奪われるのが見えた。
 その様子を見た私が反射的にオスキャルの方を振り向くと、振り向いた私を不思議そうに見る彼と目が合う。

 他の騎士と同様に目を奪われていないことに安堵した私だったが、そもそも安堵したということに驚いた。別にオスキャルが聖女に見惚れていようといまいと関係ないはず、なのに。

(これから一緒に聖女の正体を暴くためのパートナーだからってだけよ)

 そんなオスキャルを見て、どうしてか無性に悔しくなった私は彼の足を思い切り踏みつける。

「あっぶな!」
「ちょっと、避けないでくれない?」
「避けない選択肢ないですけどね!?」

 ついいつものようにキャルキャルと言い合っていると、聖女がクスッと小さく笑った。そしてクスクスと可愛らしい笑みを溢しながら私たちを見比べる。
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