幽霊姫は止まれない!
その視線は、決して何か確認するようなものではなく、ごく自然な──そう、ただただ私たちのやりとり楽しんでいるという、まさにそんな感じである。
それは先ほど向けられた微笑みよりどこか自然な笑みで、私はそっちの方が好きだと感じた。
「では、私は失礼いたします」
恭しくペコリとお辞儀し、私たちの元を後にした聖女の後ろ姿は、すぐに見えなくなってしまった。
「エヴァ様」
妃教育へ向かった聖女を見送ったあと、オスキャルに名前で呼ばれ慌てて辺りを見回す。
幸いにも、その場には他に誰もいないようだったが、今の私は『騎士ヴァル』だ。エヴァと呼ばれては困る、とオスキャルへ文句を言おうと口を開いたのだが、振り向いた私の髪にスッと小ぶりな薔薇が挿されて驚いた。
「え? これって」
「あ! さっきエヴァ様にいただいたやつじゃないですよ!? 間引かれてた花、一本くれるって庭師のおっちゃんが言うから……その、お返しっていうか」
(お返し)
それは先ほど向けられた微笑みよりどこか自然な笑みで、私はそっちの方が好きだと感じた。
「では、私は失礼いたします」
恭しくペコリとお辞儀し、私たちの元を後にした聖女の後ろ姿は、すぐに見えなくなってしまった。
「エヴァ様」
妃教育へ向かった聖女を見送ったあと、オスキャルに名前で呼ばれ慌てて辺りを見回す。
幸いにも、その場には他に誰もいないようだったが、今の私は『騎士ヴァル』だ。エヴァと呼ばれては困る、とオスキャルへ文句を言おうと口を開いたのだが、振り向いた私の髪にスッと小ぶりな薔薇が挿されて驚いた。
「え? これって」
「あ! さっきエヴァ様にいただいたやつじゃないですよ!? 間引かれてた花、一本くれるって庭師のおっちゃんが言うから……その、お返しっていうか」
(お返し)